フックや棚だけではなく、モノを載せるもの、モノを引っかけるものには、耐荷重が設定されています。
安全に使用するには、その耐荷重以内で使用する必要があります。
では、耐荷重とは、どのように設定されているのでしょうか?
メーカーの耐荷重の設定方法
各メーカーが耐荷重を設定する方法には、それぞれのルールが存在します。
例えば、安全率(安全係数)と呼ばれるものです。
モノの耐荷重を決める場合、最大強度を調べます。破壊までの強度であったり、想定された強度まで耐えることの確認であったり様々ですが、それをそのまま、ユーザーに耐荷重として提示する事はありません。
例外を除いて、最大強度を、安全率で割ったものを提示します。これが、ユーザーが目にする耐荷重となるわけです。
モノには、製品ごとにバラツキがあったり、荷重のかかり方(静荷重・衝撃荷重・繰り返し荷重など)によっても、モノに対する負荷が変わってくるからです。
もし、製品の最大強度をそのまま提示してしまうと、最大荷重内であっても、衝撃荷重や、長期の使用で破損してしまう事も考えられます。
耐荷重は、一定の余力を持って設定された数値という事になります。
耐荷重内の荷重であっても注意すべきこと
メーカーが、想定する耐荷重は、取付け強度を考慮していない場合があります。耐荷重を満たすためには、最低限、しっかりと確実に取付け面に対して、取付けられている事が条件となるわけです。
ただし、取付け強度は、色々な条件で変動します。
木部に取り付ける場合
金具を木部に取り付ける場合を考えてみます。
この場合、木部の樹種が何かによって変動してきます。
在来の建築に使用されることが多い杉などの針葉樹は、密度が低いので取付け強度は低くなりがちです。広葉樹は密度が高いため、ビスの取り付け強度は高くなる傾向にあります。
ただ、針葉樹であっても、適切なビスを使用して取り付ければ、著しく取付け強度が落ちるわけではありません。
石膏ボードに取り付ける場合
室内壁面の石膏ボードに取り付ける場合を考えてみます。
石膏ボードは、ビスの効かない代表のようなものです。石膏ボードに取り付ける場合は、ボード裏の間柱に目掛けて取り付けるか、アンカーを使用する必要があります。
アンカーを使用した場合、石膏ボードアンカーの強度と取り付けるモノの耐荷重で低い方の強度となります。
また、石膏ボードアンカーの場合、引っ張り強度を表記していることが多いので、棚やフックを取り付ける場合、さらに低い耐荷重となります。
ビスの太さ・長さによっても変わる
取付け強度は、ビスの太さや長さでも変わってきます。
ビスが太ければ、取付け面に引っかる、ネジ山の円周が増えるので強くなります。また、長ければ、取付け面に引っかかるネジ山の数が多くなるので強くなります。
ビスが付属している場合は、付属ビスを使用すれば問題はありません。ただし取付け面が薄く、長いビスを使用しても貫通してしまう場合は、取付け面の強度に依存してしまいます。
耐荷重・使用荷重・安全荷重の違いは?
ここまで、耐荷重に関して書いてきましたが、商品によっては、使用荷重や安全荷重を表記しているものもあります。
これには、どういった違いがあるのでしょう?
同じような内容ですが、一般的には以下のように分けられているようです。
- 耐荷重…モノにかけて良い負荷を表しものです。
- 安全荷重…安全率を考慮した上で、モノにかけて良い負荷を表したものです。
- 使用荷重…使用条件下(長期使用・劣化・振動)を考慮した上で、モノにかけて良い負荷を表しものです。
用語では、安全荷重が安全率を考慮したものとなっていますが、あくまで一般的な使い分けなので、プロ以外が使用する可能性のある、フックや棚受けに関しては、耐荷重表記であっても安全率を考慮したものとなっているのがほとんどです。
まとめ
各メーカーが表記している、耐荷重は、試験をもとに割り出した数値となります。そのため、取付け条件によって変動することを忘れてはいけません。
また、確実な取付けを行うことに加えて、載せるもの、掛けるものの重さに対して、多少余力をもった金具を選ぶ事をおすすめします。
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